ナタリー・ジョデル著
これは,論争の書である.歪曲を正すオペレーションである.ジャック・ラカンの死後30年以上を経て,「暗黒伝説」は一般世論のなかにはびこり続けている
— 独裁者ラカン,良心の呵責無きラカン,強欲なラカン,気違いラカン.なにしろ,フランスの最も偉大な精神分析家であった人物について今日までに書かれた唯一の伝記は,客観性を装いつつも,そのような暗黒伝説をこだまのように繰り返しているのだ.エリザベート・ルディネスコは,己れ自身の歴史の歴史家の役を果たすことはできないという事実を失認し,陰性転移にどっぷりとつかったまま,ラカンが彼自身について何を言ったかも,彼が生涯を捧げた実践をも知らずにいるがゆえに,ラカンの人物と彼の教えとについて的外れなことをしか言っていない.彼女は,みづから標榜する史学の方法の規則に対し無違反というわけには行かない.ナタリー・ジョデルは,エリザベート・ルディネスコに答えて,ここに,ラカンの肖像を描き出す.そのために指針としたのは,ロラン・バルトの「伝記作者は,友好的であると同時に無遠慮であるよう願いたい」という指摘である.9月4日発売.(ECF のネット書店に掲載されている宣伝文句の翻訳)
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