2017年9月4日

Radiophonie 読解 (5) : le signifiant et le signe

Le signifiant et le signe


問い II への答えのなかで,Lacan は自問しています : 

si le signifiant représente un sujet pour un autre signifiant, alors comment peut-il, ce signifiant, tomber au signe ? [如何に徴示素は徴へ堕し得るか?](Autres écrits, p.413).

続けて Lacan はこう言っています:

Psychanalyste, c’est du signe que je suis averti. S’il me signale le quelque chose que j’ai à traiter, je sais d’avoir à la logique du signifiant trouvé à rompre le leurre du signe, que ce quelque chose est la division du sujet.
精神分析家として,わたしの注意が向けられるのは,徴へである.わたしが扱うべき何かを徴がわたしに徴示 [ signaler ] するとすれば,わたしは,徴のまやかしを打破する手段を徴示素の論理学に見出し得たことによって,その「何か」は主体の分裂[裂け目]であることを知っている.

同じページで Lacan は,division の代わりに faille[断層,亀裂]とも言っています.ですから,division は「分裂」のみならず,「裂け目」でもあります.

先ほども示したように,主体の分裂ないし裂け目の構造は,Lacan aliénation[異状]と呼ぶ「知と真理との間の主体の分裂(ないし,裂け目)」の構造です:


「徴示素は主体を他なる徴示素に対して代表する」と言うとき,この「他なる徴示素」は,裂け目ないし切れ目のエッジを成す S(Ⱥ) ‒ または,S(Ⱥ) の座において強迫的に反復される aです.

さきほど「徴」(signe) と呼ばれていたのは,その a のことです.それは,症状の signe[徴,徴候]です.


 aliénation の構造は大学の言説の構造であり,そこにおいて a は,右上の autre の座に位置しています.

症状の signe としての a は,主体 $ を,精神分析家に対して代表します.

精神分析においては,大学の言説から分析家の言説への転回が起こります:


そこにおいては,症状の signe である a は左上の座に位置します.そして,それが主体の存在を代表するのは,右上の座の $ に対してです.この $ は,昇華された欲望としての分析家の欲望を表します.

代理者の座に位置する a は,転移神経症の症状として,精神分析的解釈によって分離され,脱落させることができます.それによって,S(Ⱥ) の座に $ が残ります.


S(Ⱥ) の座における $ は,Sein の解脱実存的な在処を支える純粋定存として,精神分析の終結を成します.

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