Jacques Lacan, né le 13 avril 1901 à Paris et mort le 9 septembre 1981 à Paris
2021-2022年度 東京ラカン塾 精神分析セミネール「ジャック ラカン — その人 と その教え」第 2 年 の 予定
2021年の 4月13日は,Jacques Lacan[ジャック ラカン:1901年04月13日に Paris で 生れ,1981年09月09日に 同じく Paris で 死去]の 生誕 120 周年の 記念日であり,そして,9月09日は 彼の 没後 40 周年 の 記念日であった.
それに備えるために,我々は,2020-2021年度の 東京ラカン塾 精神分析セミネール を「ジャック ラカン — その人 と その教え」(Jacques Lacan — sa personne et son enseignement) の 表題のもとに 行った.そして,今年度,2021-2022年度も,我々は その第 2 年めの 歩みを 続ける.
Jacques Lacan とは 誰か ? この問いに対する答えは,必ずしも 自明ではなかろう.精神分析の改革者?独善的な異端者?精神分析家中の精神分析家?衒学的なペテン師?20世紀の最も偉大な哲人のひとり?反哲学者?
しかるに,我々は 今や こう答えることができる : Lacan は,Freud が 経験論と形而上学に捕われたまま 創始した 精神分析を 純粋に(すなわち,非経験論的に かつ 非形而上学的に)基礎づけなおすことを 我々に教えた 精神分析家である.すなわち,Freud が 精神分析の創始者 (le fondateur de la psychanalyse) であるとすれば,Lacan は 精神分析を基礎づけなおした者 (le refondateur de la psychanalyse) である.
我々のセミネールにおいて かかわっているのは,Lacan の 思考の歩みを たどりなおすことであるが,そのたどりなおしを,我々は,敢えて 反時系列的に — つまり,彼の最晩年の教えから出発して,彼の教えの時系列を遡りつつ — 試みている.
そのような我々の試みを動機づけるのは,この洞察である : Lacan は,Heidegger と 同様に,あの穴 — Freud が「無意識」の名称のもとに 発見し,Heidegger が トポロジックに die Ortschaft des Seyns[存在の在所]と 名づけ,Lacan が le trou du non-rapport sexuel[「性関係は無い」の 穴]として 我々に 提示し,我々が le trou apophatico-ontologique[否定存在論的孔穴]と 呼ぶ あの穴 — のまわりを 倦まず 弛まず 歩みながら その穴について問い続けた 哲人である.とすれば,Lacan が その穴そのものに 最も肉薄し得たのは,最晩年の彼の教えにおいてにほかならない.
実際,我々は,彼の最晩年のセミネールのひとつ,Séminaire XXV (1977-1978) Le moment de conclure[結論するとき]の 1978年04月11日の講義の冒頭に,この結論を見出すことができる :「性関係は無い [ il n'y a pas de rapport sexuel ] — それが 精神分析の基礎である」.それを 我々は Lacan の 教えの最終的な結論と取ってよいだろう.すなわち,精神分析の基礎は「性関係は無い」の 穴(否定存在論的孔穴)に ほかならない.
だが,そのセミネールにおいて,Lacan は そこにとどまってはいない.『結論するとき』の 最後の三つの講義 — 1978年04-05月に行われた 三つの講義 — において,Lacan は 何を 試みているか ? 穴のエッジから出発して 三ツ葉結び (le noeud de trèfle) — ボロメオ結合性 (la nodalité borroméenne) そのものの トポロジックな形式化としての 三ツ葉結び — を 得ること である.
そこに,我々は,欲望の昇華 (la sublimation du désir) として 定義された 愛 — その歴史的なモデルを Lacan は,Séminaire VII (1959-1960)『精神分析の倫理』以来,常に,宮廷愛 (l'amour courtois) に 見出している — に関する Lacan の問いの歩みの 到達点を 見ることができる.
では,なぜ Lacan は 欲望の昇華としての愛について 問い続けたのか ? それは,それこそが 精神分析の終結を規定するものだからである.
2020-2021年度,我々は,Lacan の 最晩年のセミネール — Séminaire XXIV (1976-1977) と Séminaire XXV (1977-1978) — を 概観し,次いで,1975年06月に Paris で 行われた 第 5 回 International James Joyce Symposium における 彼の講演 Joyce le Symptôme[症状 ジョイス:講演版,書版]を 読解した.今年度,2021-2022年度,我々は,Séminaire XXIII (1975-1976) Le sinthome から出発して Séminaire XX (1972-1973) Encore へ 遡行しつつ,Lacan の 思考の歩みを たどりなおす 試みを 続ける.
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2021-2022年度の 日程は 下記のとおり(2021年11月から 2022年06月まで 原則的に 毎月 2 回,隔週 金曜日に 行います.ただし,そのときどきの事情により 日程は変更されることがあります)
時間:開始 19:30, 終了 21:00
媒体 : Zoom Meeting(毎回 録画し,終了後,編集したうえで YouTube に 公開.参加者の顔や声が画面に出ないよう 配慮します)
時間:開始 19:30, 終了 21:00
媒体 : Zoom Meeting(毎回 録画し,終了後,編集したうえで YouTube に 公開.参加者の顔や声が画面に出ないよう 配慮します)
受講料:無料
申込と問合せ : ogswrs@gmail.com(東京ラカン塾の mailing list に未登録の参加希望者は 申込をしてください.登録済みの参加希望者へは Zoom Meeting 参加リンクを そのつど mail で 配信します)
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2021-2022年度の 日程
1. 11月05日:ラカン没後 40 周年を 記念して
2. 11月19日
3. 12月03日
4. 12月17日
5. 1月14日
6. 1月28日
3. 12月03日
4. 12月17日
5. 1月14日
6. 1月28日
7. 2月11日
8. 2月25日
9. 3月11日
10. 3月25日
11. 4月08日
12. 4月22日
13. 5月13日
14. 5月27日
15. 6月10日
16. 6月24日
8. 2月25日
9. 3月11日
10. 3月25日
11. 4月08日
12. 4月22日
13. 5月13日
14. 5月27日
15. 6月10日
16. 6月24日
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付録として,わたしが 最近 日本語で書いた ふたつのテクストを 参考までに 紹介します: